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デジタルノマドプログラム参加、Carolina Castillaインタビュー
04.07.2025
Interview

デジタルノマドプログラム参加、Carolina Castillaインタビュー

今回は、スタートアップの創業者であり、エコシステムビルダー、そしてアーティストとしても活躍するCarolina Castilla氏にお話を伺いました。彼女は、2025年にShibuya Startup Support(以下、SSS)がテスト的に始めたデジタルノマドプログラムに参加。プログラム参加のきっかけや、日本でデジタルノマドとして暮らし・働くという体験について語ってくれました。

(写真:Carolina Castilla)

自己紹介をお願いします。

はじめまして、Carolina Castillaです。アーティストとしては「Love My Robot」という名前で活動しています。

私は「Luminarium.io」というグローバルなAIアクセラレーター兼クリエイティブエージェンシーを運営していて、起業家精神、倫理的なテクノロジー、そしてデジタルアートを融合させた取り組みを行なっています。テクノロジー分野に加え、エレクトロニックミュージックのプロデューサー/パフォーマーとしても活動しており、AIの倫理や人間の創造性について考えるきっかけとなるような、映像と音を融合させた没入型の体験を制作しています。

これまでシリコンバレー、ヨーロッパ、ラテンアメリカなどでキャリアを積み重ねてきましたが、現在はアジアにも活動の場を広げ、京都や東京でのプロジェクトも進行中です。

Shibuya Startup Supportのオフィスでの写真 (写真: Carolina Castilla)

デジタルノマドプログラムに参加した理由を教えてください。

私はもともと旅が好きで、新しいイノベーションが生まれる地域を訪れるのが好きでした。リモートワークのおかげで、AIについての知識や意識を、さまざまな文化圏に広げることができています。中でも、十分な支援を受けづらい起業家をサポートすることに強い思いがあります。だからこそ、より成熟した市場に足を運び、困難な環境で挑戦しているスタートアップに資金や注目が集まるよう、橋渡しをしています。

日本には以前一度訪れたことがあり、とても良い印象を持っていました。ある日、以前テック系のイベントで出会った日本の起業家が、渋谷区のデジタルノマドプログラムに関する投稿に反応しているのをSNSでたまたま見かけたんです。ちょうどその頃、夫が北海道へのスキー旅行を計画していたので、「これは良いタイミングかもしれない」と思いました。夫が北海道でスキーを楽しんでいる間、私は東京に滞在して、人とのつながりを広げることができると思ったんです。

なぜ渋谷を選んだのですか?

日本には、伝統と革新が絶妙なバランスで共存しているところにずっと惹かれてきました。例えば、建築や案内表示、ユーザーインターフェース(UI)やアニメーションなど、日常のあらゆる場面で感じられる丁寧で意図のあるデザインの考え方がとても印象的です。特に渋谷は、昔ながらの風景と未来的な要素が共在していて、その対比がとても刺激的で学びの多い場所だと感じました。それに、マリオやドラえもん、ポケモンのような日本のキャラクターも大好きなんです。

渋谷でのデジタルノマド滞在中は、どのようなことに取り組みましたか?

滞在中は、主に人脈づくりに力を入れ、多くの起業家や投資家の方とお会いしました。同時に、AIを活用したスタートアップ向け支援の仕組みづくりにも継続して取り組みました。これは、資金調達を目指すスタートアップが、より的確な評価や助言を受けられるようにするものです。
また、SSSのコミュニティマネージャーのエミリーさんと出会えたのも大きな収穫でした。日本貿易振興機構(以下、JETRO)が開催するWeb3のイベントを教えてもらい、AIやブロックチェーンに関心のある国内の投資家との交流を深めることができました。

(写真: Carolina Castilla)

テクノロジー分野に限らず、音楽活動も続けていました。私はエレクトロニックミュージックの作曲と演奏もしており、AIによって生成した映像と共に、ドラムマシンやキーボードを使って自分で作曲した音楽を東京で披露する機会にも恵まれました。SSSチームの支援もあって、東京で演奏できる場所をいくつか紹介していただき、2025年の2月にはAmazon Musicや都内の複数のバーで計3回の公演を実施しました。

また、シリコンバレーにおける資金調達の方法やスタートアップ支援について、東京で講演を行う機会もありました。その話を聞いた日本の起業家の中には、自身のプロダクトや構想を見せてくださる方もいて、個別に意見交換をしたり、資金提供者を紹介したりするなどの交流も生まれました。

JETROの訪問や各種イベントへの参加を通じて、日本におけるAIやブロックチェーンの最新動向に触れられたこと、そして日本の投資家とのつながりが深まったのも大きな成果の一つです。現在は、そうした出会いで繋がったスタートアップがシリコンバレーでの資金調達に挑戦するサポートもしています。

デジタルノマドプログラムに参加してみて、驚いたことやギャップはありましたか?

東京のスタートアップエコシステムの多様性には、特に驚きました。SSSには素晴らしいスタートアップが多く集まっていましたが、それ以上に印象的だったのが、コミュニティの多様性です。スタートアップにおいて多様性は非常に重要で、それがイノベーションや高い成果を生み出す原動力になると私は考えています。私はシリコンバレーのアクセラレーターやコワーキングスペースにも所属したことがありますが、SSSが築いている環境は本当にユニークだと感じました。中国、ロンドン、フランス、アメリカ出身の起業家が互いに交流し、刺激し合っている。このようなグローバルな交流は、スタートアップが成長しスケールしていく上で欠かせない要素です。グローバルな視点を持ったスタートアップがつながり、資金調達を進めたり、協力体制を築いたりできる場があることは、大きな力になります。これはまさに、10年前のシリコンバレーで、私が初めて支えられた環境を思い出させるものでした。

シリコンバレーでのご経験について、もう少し詳しく教えてください。

シリコンバレーに最初に行ったときは、多様性にあふれた環境に身を置くことができました。現地には「Hacker Dojo」という、エンジニアや起業家が集うコラボレーションスペースで働いていた知人がいて、彼と出会ったことが大きな刺激となりました。自分もそんな活気あるコミュニティの中で働きたいという思いが強く芽生えたんです。

一方で、技術だけでなく、経営の視点も学べる環境を求めていた私は、San Joseにある起業家支援プログラム「Founders Floor」に応募しました。約5年間にわたり活動する中で、毎週のように投資家との面談の機会があり、定期的に交流会や勉強会、ピッチイベントなどが開催されていて、スタートアップにとって非常に成長のチャンスにあふれる環境でした。

そうした機会を活用しながら、5社の投資会社から資金を調達することができました。また、私は金曜の交流会を自ら企画するようになり、そこで築いた人とのつながりが、事業を一段と前進させる原動力となりました。

デジタルノマドプログラムに関心のある方にアドバイスはありますか?

まずは、現地の文化にしっかり入り込んでみることをおすすめします。

日本は、ただ働くだけの場所ではありません。日常の中に多くの学びがあり、周囲を観察し、受け入れ、自分の中で深く考えることができる、学びの多い場所です。目の前の業務だけにとらわれず、周囲で何が起きているかに目を向けてみてください。

特に印象的だったのは、先ほども少し話しましたが、利用者目線の設計や情報の見せ方といった点で、日本には多くの工夫があります。例えば、駅や案内表示、注意喚起のポスターに至るまで、丁寧で親しみやすいデザインが取り入れられているのが印象的でした。細部までこだわる日本の姿勢からは、多くのことを学べます。

そうした気づきを、自分の事業にもぜひ取り入れてみてください。私自身、SSSのデジタルノマドプログラムに参加してから、自社サービスの設計や仕組みが東京での体験に影響を受けて進化していると感じています。


東京でのビジネスを効率よく進めるためのコツはありますか?
来日前にYouTubeやブログをたくさん見て準備をしましたが、それが非常に役立ちました。東京に来てからは、デジタルノマドプログラムが提供してくれる面談や紹介の機会を最大限に活用しました。あとはフォローアップと人脈づくりに力を入れるだけです。資金調達支援では、本当の信頼関係づくりが何より大切で、一度の面談が次の機会につながっていきます。LinkedInを通じて知り合った方々からさらに多くの紹介を受けることもありました。なかには食事の場でのカジュアルな会話が深い関係構築につながったこともあります。

「SHIBUYA SKY」 (写真: Carolina Castilla)

おすすめの訪問先や食べ物はありますか?
もちろん、ラーメンはぜひ試してみてください。
渋谷駅近くの展望台「SHIBUYA SKY」からの眺めも素晴らしいのでおすすめです。私のお気に入りのバーは「花魁渋谷」で、クリエイティブなカクテルで知られ、世界の名バーにも選ばれています。食べ物では、トンカツや枝豆もシンプルながらとても美味しいですよ。

Carolinaさん、デジタルノマドプログラム参加の経験談をシェアしてくださり、ありがとうございました!
次回は2025年9月にデジタルノマドプログラムを開催予定なので最新情報はSNSで発信します、ぜひフォローをお願いいたします。

Shibuya Startup Support:https://shibuya-startup-support.jp/

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