
Shibuya Startup Support(以下SSS)は、フィンランド・ヘルシンキにて開催された世界最大級のスタートアップイベント「Slush」に参加しました。本視察は、SSSの海外連携の推進およびスタートアップ支援の高度化を目的とした取り組みの一環として実施したものです。
Slush期間中、SSSはメインイベントやサイドイベントへの参加に加え、欧州の大学・研究機関、スタートアップ支援拠点、企業へ訪問し、ミーティングを行いました。
Slushは、70カ国以上から13,000人を超える参加者が集まる世界最大級のスタートアップカンファレンスです。規模は非常に大きい一方で、1on1ミーティングの機会が多く設計されており、ファウンダーに寄り添った距離の近いイベントとして運営されています。また、一部プログラムは招待制・選抜制となっており、参加者の質が担保されている点も特徴です。
2025年は11月19日から20日の2日間にわたってメインイベントが開催され、その前後を含むSlush Week期間中には、ヘルシンキ市内各所で100以上のサイドイベントが開催されました。街全体がスタートアップ関係者であふれ、自然な形で交流と情報交換が生まれる環境が整えられていました。
今年の全体傾向としては、AI関連スタートアップの増加が特に顕著であり、サステナビリティとディープテックを掛け合わせた領域の存在感も強く感じられました。また、日本からの参加者が年々増加している点も印象的でした。
公式ピッチイベントである「Slush 100」では、量子カメラと衛星技術を組み合わせた米国スタートアップDiffraqtionが優勝しました。ファイナリストにはSaaS色の強いスタートアップが多く、実用性やスケーラビリティを重視したAIビジネスが主流となっていることがうかがえました。
Slush期間中、SSSは複数のイベントに参加し、現地でのネットワーク形成と情報収集を行いました。
イベント開始前日には、Helsinki Partnersが主催する日本とフィンランドの交流イベント「Pulla & Connections」に参加しました。本イベントでは、日本の自治体や支援機関による紹介セッションが設けられ、SSSも2分間のピッチに登壇しました。渋谷区のスタートアップ支援施策として、スタートアップビザ、PoC支援、S-Startup Programなどを紹介し、日本進出に関心を持つ海外スタートアップとの接点を形成しました。

Slush会期中には、京都市が主催する「Scaling Startups from Japan to the World」に参加し、SolarDuckやNERONといった日本発スタートアップのピッチを視察しました。日本の自治体が海外の舞台でスタートアップを発信する先行事例として、学びを得る機会となりました。

また、SSSTakeoff Tokyo、Helsinki Partners共催の「Japan Pitch Night in Helsinki」ではSSSが登壇し、渋谷区におけるスタートアップ支援の取り組みを紹介しました。本イベントは日本企業の海外展開を支援する場として開催され、日本と欧州のスタートアップ、投資家、自治体関係者が一堂に会しました。
Slush会期中を通じて、スタートアップ、VC、支援機関との面談も数多く実施しました。日本進出意欲の高い海外スタートアップとの具体的な接点を獲得できたほか、2025年3月開始予定の、フィンランドのモバイルゲーム開発会社Supercellによる東京アクセラレーションプログラムに向けて、渋谷との連携の可能性についても意見交換を行いました。

今回の視察では、デンマーク工科大学 (DTU)、ボッコー二大学、アールト大学といった欧州の大学・研究機関および、それらに付随するスタートアップ支援拠点を訪問しました。
デンマーク工科大学のDTU Science Parkでは、大学の研究成果を商用化することに特化した支援が行われており、特にメンターに対するインセンティブが明確に設計されている点が印象的でした。大学に集まる最先端の研究に触れられること自体がメンターの動機となり、ディープテック領域における高度な支援モデルが成立していました。同じくDTU内にあるDTU Skylabでは、学生の研究や起業を支援するためのラボや実験環境が整備されており、学内に挑戦の場が自然に組み込まれていました。

イタリア・ボッコー二大学のBocconi for Innovationは、質の高いハンズオン支援に特化した大学系アクセラレーターです。起業家同士が学び合うコミュニティ運営が重視されており、「ピザナイト」などの取り組みを通じて横のつながりを促進しています。また、質問型メンタリングをメンターに事前にトレーニングし、2週間に1回のチェックインにより進捗を継続的に管理する点が特徴的でした。
フィンランド・アールト大学のAalto Startup Centerでは、サステナビリティとディープテックに特化したアクセラレーションが行われており、有償でアドバイザーを起用することで、質の高いメンタリング体制が担保されています。ワークショップでは、事前に設定された課題に取り組み、その実行結果を検証するプロセスまでが一体として設計されており、実行と改善を繰り返す実践的なプログラムである点が印象的でした。
今回訪問した研究機関に共通していたのは、大学、研究、事業化が一体となった支援設計がなされている点です。研究成果を研究段階にとどめるのではなく、学生や研究者が起業や事業化に挑戦しやすい環境が整えられていました。
また、メンターの関与のあり方も特徴的でした。役割やインセンティブが明確に設計され、定期的なチェックインを通じて起業家の進捗が丁寧にフォローされています。指示を与えるのではなく問いかけを重視するメンタリングにより、起業家自身が課題を整理し、意思決定する力を育てる支援が行われていました。
フィンランド・ヘルシンキにあるMaria 01は、欧州最大級のスタートアップハブとして、多くのスタートアップが集う拠点です。元病院を活用したコワーキングスペースには、成長フェーズに応じてスタートアップが入れ替わる仕組みが取り入れられています。質の高いコミュニティを基盤とした運営が特徴で、今後はその強みを活かした有料アクセラレーションの展開も予定されています。
また、フィンランドのHelsinki XR Centerは、XR領域に特化したスタートアップ支援拠点として、XR分野のスタートアップ育成や事業化支援を行っています。専門分野に特化することで、関連する知見やネットワークが自然と集まり、分野特化型支援の有効性を実感する訪問となりました。

北欧および欧州のスタートアップエコシステムでは、イベントやプログラムが単発で完結するのではなく、その後のアクションにつながるよう設計されている点が特徴的です。継続的なチェックインとハンズオン支援を前提とし、大学や研究機関、企業、支援機関が連動しながらスタートアップに伴走する仕組みが形成されています。こうした一貫した支援設計が、スタートアップの持続的な成長を後押ししていることを強く感じました。
今回のSlush参加および欧州視察を通じて、SSSとして今後のスタートアップ支援に活かせる多くの示唆を得ることができました。これらの知見を踏まえ、今後は渋谷区という地域特性を活かしながら、より実践的で継続的な支援のあり方を検討していきます。
SSSが今後開催するイベントやセミナー、海外連携の取り組みについては、公式Webサイトやソーシャルメディアにて随時発信してまいります。ぜひフォローいただき、最新情報をご確認ください。
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